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即興演奏について

ここではアドリブつまり『即興演奏』について書きたいと思います。
あくまでも私個人としての雑感程度にお読み下さい。
【チョー簡単!WEBでアドリブ講座!第1章】
『アドリブってナニ?』
◎ジャズにおける即興演奏のメカニズム
ジャズ初心者にとってアドリブ、つまり即興演奏というのはなかなか理解しがたいものかもしれない。ジャズを知らない生徒さんに『アドリブってわかりますか?』と質問してみると、たいがい『よく解らない』とか『あれは適当にやってるんですか?』といった感想が返って来る。前者の『よく解らない』は前提として『音楽の仕組み、構造というものがよく解っていない』と言い換えることが出来うるだろう。
音楽の構造、仕組み、ルールが解っていればアドリブと言うのは瞬間的に作曲乃至、メロディーメイクしていることだと察しが付くからだ。では後者はどうであろう?まあ、良い意味で『適当』にやっていると言える。つまり適切に、妥当にやっている訳である。いい加減にはやっていない。・・・・たぶん(笑)。つまりアドリブのノウハウを知るには『音楽そのもの』の構造を理解する事が大前提である。

よく音楽の三大要素と言われる。
俗に言う、@メロディーAハーモニーBリズムである。
クラシック音楽の場合この順番でよろしい。あんまりリズムは大事じゃない。
クラシックのコンサートでノリノリに体をグルーヴさせている観客を私は見たことがない。クラシックは大作曲家先生の書いたメロディー(テーマ)こそ大事なのである。

反対にジャズはメロディー(テーマ)なんてどうでも良い(笑)。
そもそもスタンダードなんてオリジナルのメロディー(テーマ)を正確に把握、演奏している人の方が少ないかもしれない。だって正確な譜面が残ってないことが多いから。もし、メロディー(テーマ)の譜面があってもフェイクしてしまうし、下手したらメロディー(テーマ)すら演奏しない事もある。

ジャズはアドリブが命である。アドリブのラインを『メロディー』と言うのであればメロディーが第一と言えるかも知れない。ただし、ジャズにおける即興の場合、ハーモニー(コード)やリズム(ビート)から旋律がインスパイアされる場合が多い。ジャズに詳しくない方の為に解説すれば通常のジャズの演奏と言うものはまず、素材である『曲』たとえばスタンダードのテーマを演奏する。これは通常32小節程で1コーラスである。そしてそのテーマに付随したコード進行(ハーモニー)
を伴奏者(ベース、ピアノ、ドラムなど)が2回3回(2コーラス、3コーラス)と繰り返す。その伴奏を基にソリストは即興で旋律を紡いでいくのである。基となる情報がハーモニーやリズムなのだ。だから同じ曲を演奏してもソリストが違えばアドリブも違ってくるし、伴奏者が変わればソロも変わる。同じメンバーでも昨日と今日では違う(はず)。クラシック音楽は楽譜の忠実な再現という事が大事になってくるがジャズは常に新しい演奏を好む。日進月歩ならぬ秒進分歩なのだ。

さあ、ダラダラ書いてきたのでこの章をまとめると
@音楽には@メロディーAハーモニーBリズムという構成要素がある。
Aジャズのアドリブはその内、AハーモニーBリズムを手がかりに瞬間的に旋律を作る行為である。
Bゆえに同じ曲、同じメンバーでも毎回違う演奏になる。



【チョー簡単!WEBでアドリブ講座!第2章】
『即興のヒント〜ハーモニー(コード)について@』

ジャズマンが即興の際にコード(ハーモニー)やビート(リズム)をヒントに如何にしてフレーズを紡いでいくか
について述べたいと思う。これはあくまで私見なのであしからず。
『へ〜そなの』程度の受けとめ方で結構。
クラシックの楽譜と言うものは親切でこっからここまで○長調とか書いてあるから間違えにくい。いいね〜。
しかも演奏の仕方まで書いてある。どう演奏するかは指示に従えばいいのである意味楽である。
最近のゆとり世代のの新入社員の若者達にはうってつけの音楽だ。
『こーしなさい』→『はーい』でよろしい。
ジャズやポップスの楽譜には演奏指定がない『勝手にやれ!でもダサかったらしらねーよ』である。
また調性もコードネームと言う暗号(笑)を解かないと解らない。
もちろん楽譜の最初に調性記号は書いてある事もあるが曲の中での部分転調は日常茶飯事だ。
だからアドリブの際、うっかり同じ調で演奏し続けているとパトロール中の調性警察
『ぴぴー!』と取締りを食らってしまう。

『こらこら!そこの車!ここはBbメジャーだよ。その角のDm7って標識見えなかった?ダメだよ〜!b2つ付けないと〜。』
『あ、すんません。Dm7ってBbメジャーなんすか?うっかりCメジャーかと・・・。最初に調性記号なかったし・・・』
『ちゃんと教習所で教わらなかった?その角の後ろにF7って標識あったでしょ?』
『あ〜すんませんDm7しか目に入らなかったッス。』
『また教官にDm7つったらCメジャーね的に教わったんでしょ?路上は違うんだよ路上は〜。』
『免停っすか?』
『だね。』

・・・ショートコントはこれくらいにして、要はそういうことである。
コードと言う暗号を解読できないと痛い目にあうのである。
コードを正確に理解し、その場所の調性を判断し、適切な音階を用いるというのが
アドリブに必要な認識能力である。これはあくまでも認識のスキルであって
認識できたからと言ってフレーズが勝手に出来上がるわけではない。
この時点では、あくあまでも道路標識や地図がわかるという事に過ぎないのだ。

それではまとめ。
@コードが解ればそこの調性がわかる。
Aゆえにどこからどこまでその調整が通用するかと言う範囲がわかる。
Bコードが解らないと何も解らない。


【チョー簡単!WEBでアドリブ講座!第3章】
『即興のヒント〜スケール(音階)について@』

前章@ではなぜコードを理解する事が必要かを、
前章Aでコードの解読の仕方を書いた。

コードだけでは情報量は4つである。
root(1度)、3rd、(3度)、5th(5度)、7th(7度)
1小節に1つのコードしか書いてなかったら
何とかこの4つの音でアドリブすればいいが
何小節も同じコードが続いたらネタがなくなってしまう。

また、コードの構成音でアドリブしたら他のプレイヤー
の出す音とカブってしまう。単調だ。それもありだが。
『好きな女優は?』と聞かれて野郎共がいっせいに
『綾瀬はるか!』と答える中、一人だけ
『かたせ梨乃』と答えたらその男は尊敬の眼差しで見られるだろう。

ジャズとはそういうものだ。

で、構成音以外でどんな音が使えるかを判断するのに
ヒントとしてコード→スケールの拡大解釈法が必須となる。
要するに。。。。
メンドクサイのでたとえを使おう。

ある曲で

Dm7 |G7| C△7| F△7(|は小節線。)

となっていた場合、いちいち各小節ごとのコードに反応していたら
あたふたして何も出来ない。テンポ120なら1小節は2秒しかない。
しかし、実は上記4つのコードは
『ダイアトニックコード』と言われるもので1つのスケールから派生している。
このダイアトニックコードとはつまり。。。。。。。。。。ググれ!

・・・・・・・で
このダイアトニックコード内であればその派生元つまり親分は
上記の場合はC△7である。
つまりCメジャースケールから派生しているコード群な訳だ。
よってこの Dm7 |G7| C△7| F△7 の4小節間は
Cメジャースケールでフレージングできるのである。
1小節ごとに反応しなくてよろしい。
例えるならばDm7という標識からF△7まで
C△7車線を走行していればよろしいと言う事だ。
ほら、ちょっと楽になりましたね?
このようなスケールの縄張りが曲の中に存在するのです。
で、それを解読して必要に応じて転調(車線変更)しながら
アドリブ(ドライブ)していけばよいということだ。

え〜〜〜〜〜、転調しながら〜〜〜〜〜〜!!

と思った人はジャズには向かない。
そういう人はAKBの「GIVE ME FIVE!」でも演奏していた方がよろしい。
4分音符ばっかりで楽しいぞ!一般ウケもいい。

中には単発的に突如として脈絡の無い(無いことは無いが)
特殊なコードがいきなり『ポ!』っと出てくる事もある。
そういうときにはダイアトニックポリス(調性警察)ではなく
ノンダイアトニック担当のFBI捜査官(オルタードさん。コンディミさん等)
を出動させることになるがそれはまた後の章で。

【チョー簡単!WEBでアドリブ講座!第4章】
『即興のヒント〜スケール(音階)についてA』
今回はモードの話しです。

先日、ア・ミューズのジャズピアノの会員さんとの話の中で
『モーダルってなんですか?』
という質問をされ、
正直『ん〜ちゃんと説明するのめんどくせ〜かな〜』と思いつつ、
『これ↓聴いてみたら?』

とCDを勧めてみたのだが、
とりあえず簡単に説明して欲しいということだったので
こんな感じに説明した。

『音階(Scale)はわかりますよね?』
『はい、ハ長調とか』
『……そ、Cメジャーとか』
『所謂、ドレミファソラシドね。』
『はい。』
『それってどっから始ってもCメジャースケールだよね?』
『へ?』
『レミファソラシドレでもソラシドレミファソでもさ。』
『そうですね』
『モードは始る順番が大事なんですよ』
『はあ。。』
『例えばメジャースケールの2番目から始る音列ドリアンて言うんですね。』
『2番目からだとオムレツなのにドリアなんですか?』
『…お腹空いてます?』
『あ、ハイ、ちょっと(笑)』
『ですよね〜(笑)』

という事で以下の事を説明した。
【モード名】 …定義               (相対的な階名)
【イオニアン】…メジャースケールの1番目から始る音列(ドレミファソラシド)
【ドリアン】……メジャースケールの2番目から始る音列(レミファソラシドレ)
【フリジアン】…メジャースケールの3番目から始る音列(ミファソラシドレミ)
【リディアン】…メジャースケールの4番目から始る音列(ファソラシドレミファ)
【ミクソリディアン】……メジャースケールの5番目から始る音列(ソラシドレミファ)
【エオリアン】…メジャースケールの6番目から始る音列(ラシドレミファソラ)
【ロクリアン】…メジャースケールの7番目から始る音列(シドレミファソラシ)


『なんか〜アンとか餡子みたいなのに耳クソとか汚いですね』
『……。まあ、ラテン語かなんかなんじゃないの?(適当)』
『でなんでいちいち名前がついているんですか?』
『まあ、初めに決めた人が名付けちゃったからしゃーないんじゃないの?』
『なんで名前で区別したんですかね?』
『これらはメジャースケールのそれぞれの音を基点に展開されているよね?』
『はい』
『昔はこのそれぞれのモード(音列)を使って賛美歌とかが作曲されてたの』
『へえ〜×5』
『だから教会旋法とも言うんだよ』
『7種類の方法があったってことですか?』
『そ、ドリアンで作ってみたり、ロクリアンで作ってみたり』
『え?ドリアを小倉餡で作るんですか?』
『わざと聴き間違えてますね?』
『すいません。ちょっとややこしかったもんで』
『ややこしくしてるんじゃないですか!(笑)』
『でもこれでモードってなんとなくわかりました!』
『よかったよかった。』
『このモードを使ってアドリブするってことなんですね?』
『そゆこと。』
『でも普通のモードジャズじゃない曲もモード使ってプレイしますよね?』
『うん、勿論』
『モーダルな曲と普通の曲のアドリブってどう違うんですか?』
『ん〜モーダルな曲っていうのは曲自体にモードが指定してる場合が多いってコトかな』
『曲がモード?』
『普通は曲にコードが指定してあるでしょ?』
『はい。』
『モードの曲はコードじゃなくてモードが指定してあるの』
『へえ〜×5』
『さっき薦めたアルバムの[So What]なんてコードじゃなくてモードが指定してあるんだよ』
『そーなんですか?』
『そー!』
『ホワット!』
『………。』
『確かにコルトレーンは音階練習みたいなフレーズばかり吹いてますね』
『……勇気あるコメントだね。。』
『でもキャノンボールは随所でコードやビバップのフレーズも吹いてますね』
『そだね。コルトレーンの方が完全にビバップにオサラバしてるね。』
『コルトレーンの方がモード奏法をマスターしてるってことですか?』
『だね。』
『でもずっと同じモードばかりだと同じような感じになっちゃいませんか?』
『なっちゃうね。そこが制約は取れたけど難しくなったところだね。』
『私には無理だな。既に諦めモード』
『それしゃれ?』
『私にはムリジアン!』
『……どーすんのこの空気!』
『まあ、Kind of Blueって事で。』

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